続・心友。~もうひとつの想い~

「マリアに訊いても『そんなんするわけないやん』って、笑い飛ばすに決まってる。

あの子はそーゆー子やもん。
すごく優しいねんで、マリアって……」


そう言った口元が少しだけ笑った。




「それにな、もしこの予想が当たってたとして……私はマリアになんて言ったらいいの?


『知らんかったわ、ゴメンな』って言うん?

『ありがとう』って言うん?

『よかったん?』って訊く?

『別れたほうがいい?』って訊いてみる?


そんな言葉で……済ませられるわけないのに」




藍の目が、涙で潤んでいた。


堂前は返す答えが見つからずに、黙ってしまう。




「でもな、」


それでも藍は言葉を続けた。




「都合のいい考えかもしれへんけど……、

マリアがそこまでして背中を押してくれた恋を、私はやっぱり放り出して逃げたり、できへんねん」


ひと言ずつゆっくりと藍は言った。


それから真っ直ぐに堂前を見あげる。




「だから私は、堂前くんの気持ちには応えられへん」


ゴメンなさい、と藍は頭を下げた。




あー、それを説明する前フリやったんか……。


やっとそれに気づく。




< 54 / 133 >

この作品をシェア

pagetop