続・心友。~もうひとつの想い~

「わかった」


短く答えて、もう一度藍を見た。




「堂前くん、今の話……」


「うん、誰にも言わんから」


「ありがと」


潤んだ目が、そっと微笑んだ。




「答えは自分で探してみる」


静かにそう言って、藍がキュッと唇を結ぶ。




「がんばれよ」


心から、そう言えた。






「堂前くんって、誰かに似てるなぁ」


それから藍は急にそんなことを言った。


「えっ」


一瞬ギクッと、身構える。




「誰やったかな? さっきから思い出せそうで思い出せなくて。えーっと……もう少しで出てきそうなんやけど」




「あー、俳優の○○に似てるってよく言われる」


あわてて顔をそむけ、何度か言われたことのある名前を出した。




藍に、あんなやつの顔を思い出させるわけにはいかないから。



あの夏以来、藍を苦しめている従兄・楡崎の顔を……。


< 55 / 133 >

この作品をシェア

pagetop