続・心友。~もうひとつの想い~
「あーそうかな。イケメンやもんね」
あまりピンと来てはいないようだったけど、藍はそう言って笑った。
「じゃあ、みんな待ってるから行くね」
「うん……」
食堂の陰から、藍が光の中へと駆けだしていく。
眩しい笑顔も
いじらしい涙も
もう自分に向けられることはない。
その背中を見守りながら、堂前はもう一度自分に言い聞かせていた。
もうあの子には声をかけない。
あの夏を思い出させる存在は、あの子の前から消えるべきや。
そんなことは、ずっと前からわかっていたことだ。
そして今、あの子の気持ちも確かめた。
友達がいて
彼氏がいる。
『逃げたりできへん』と言った顔――。
自分なんかが守らなくても、彼女は自分で歩いている。