続・心友。~もうひとつの想い~

まだ幼さの残る藍の顔――。


涙のあとがたくさんついている。




車の中だと思う。


ケータイで撮られることに気づいたのか


倒されたシートの上に身を起こしかけた上半身があらわになっていた。




怯える目がこっちに向けられている。




乱れた髪。


剥ぎ取られた下着




暗闇に浮かぶのは、悟が初めて見る藍の白い肌だった。




まだ触れたことのない美しい肢体。




藍……。




いつかマリアが話してくれたあの夏の日の写真だ。


その夏、つきあって間もない大学生の彼に
藍は欲しいままにされたあと、写真を撮られたと聞いた。




藍のトラウマの原因……。




力まかせに触られたのか、真っ白な肌がところどころ赤く滲んでいた。




「泣い……てるやん」




ひとりぼっちで、どんなに泣き叫んだのだろう。


目が赤くて、鼻も赤くて、


たくさん泣いたあとの藍の顔だった。





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