続・心友。~もうひとつの想い~
血相を変えて、階段のほうへと急ぐ悟。
顔つきがこわばっている。
「悟?」
思わず声をかけると、一瞬ギクッと固まり、それからゆっくりと振り向いた。
ちらりと教室の『3-A』のプレートに目をやり、自分がどこを歩いているのか、悟は今、気がついたようだった。
「どーしたん、悟?」
となりにいるユキが訊いた。
「すっごい顔してるで」
マリアも続けて言う。
「え、俺……?」
悟は顔をひきつらせて、逆に聞き返してきた。
「藍……は?」
「日直日誌を出しに職員室に行ったよ。そのままあんたとの待ち合わせ場所に向かうって」
マリアが答える。
「え」
「今日藍と一緒に帰る日やろ?」とユキ。
「あ」
悟の口がまぁるく開いた。
「ちょっとー、忘れてたん?」
ユキがとがめるように言ったけれど、マリアは眉をひそめた。