続・心友。~もうひとつの想い~

「……何かあったん、悟?」


悟がそれを忘れるなんて、ありえない。


けれどその返事の代わりに、悟は 低くかすれる声を出した。




「マリア……、あいつ何者?」




「あいつ?」


「あの堂前ってやつ」




「おー、とうとう宣戦布告されたか?」


横からユキがちゃかしたけれど、悟の深刻そうな様子を見て、すぐに口をつぐんだ。




「ど-したん、悟? なんかおかしいで?」


ユキとマリアが悟の顔をのぞき込む。




「あいつ……、藍の画像を持ってた。車の中で元カレに撮られた写真やと思う」




「えっ……」
「まさか、そんな……」


ふたりは息をのむ。




「あれはけウチらが破壊したはずやで。もうこの世にあるわけないねん」


高ぶるユキの声を制するように、悟は言った。






「でも、あった」





――短い沈黙。





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