続・心友。~もうひとつの想い~

「ちょっ、ちょっと、大丈夫?」


堂前の頬に、バシッバシッとビンタが飛んだ。


痛っ、と叫んだつもりが声にならない。




あ……れ?


声だけではなく、もう誰にも押さえられていないのに、堂前の体は動かなかった。


体中がしびれていて、頭が痛い。


吐き気もする。




ずいぶん長い間締められていたからな……。


酸欠状態が続くとこーなるのか、


などと堂前はぼんやりと考えていた。


柔道の絞め技で、落とされ損ねたみたいだ……。




バシンッ!


と、そのときまた、堂前の頬にビンタが入った。




痛っ!




「ちょっと、堂前。しっかりして」


バシッ、バシッと、ビンタは続く。


いやいやいやいや、もう気づいてるから……!




ゆらゆらと、動かない手をなんとか片方だけあげて、堂前は意識が戻ったことを相手に知らせた。


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