BLACK EMPRESS
史上最弱の総長
昭和30年春。
日本は未だ発展途上で暴力と罵声、そしてお金だけが全てだった。
現在のように横断歩道や信号、歩行者通路はなく、子供の死亡事故がいつどこで起こってもおかしくない時代でもあった。

彼女の名は黒瀬川楓。昭和10年5月10日生まれの19歳の女性。だが戸籍上では同年9月5日生まれとなっている。
目つきが強く、足も長く豊満な美乳で髪はウェーブがかかっていた。
映画監督・黒瀬川嵐の娘として生まれ、曾て戦後は子役として映画やCMで大活躍していたが、現在はひっそりと引退し漫画と小説を執筆している。
しかしながら自身の力量が不足しているせいもあってか読者に受け入れてもらえず、ヒット作は未だに出ていない。それでも彼女は漫画や小説を描くことでみんなを笑顔にさせることができたら嬉しい、と思っていた。

ある日のことだった。
ウィルス性の病にかかり、体調が回復したばかりの彼女は「神無月」の総長に任命された。
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