個人的事情につき“それ”禁止

「えっ…!?」





顎を掴まれただけじゃない。

目の前に現れたのは不機嫌MAXな彼の顔。

書類不備とかで怒られている時には、背筋が凍りそうなこの表情も。

こんな間近に現れるとドキドキしてしまう。





「これだ、これ」

「え…っ!?」





そう言って眉間に深々とシワを寄せたと思ったら。

彼の顔はもう目の前にある。

そして、気付いたときには。

私の唇と彼の唇は重ね合わさっていた。





「なんでこんな唇してるんだ…?」

「や、なにがです…っん…っ…」

「…こんなの、誰だって…誘われてるようにしか思わねぇよ」





キスの合間に紡がれる言葉。

重ねられた、なんて生易しいものじゃない。

噛みつかれているようで、今にも食いちぎられそうだ。





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