個人的事情につき“それ”禁止
これが、彼との初めてのキスだった。
仕事中の冷静沈着でクールな彼とは正反対。
荒々しく熱を含ませたキスが、まだ足らないと言わんばかりに降ってくる。
…それだけ私を欲してくれている。
彼の余裕のないキスが、私の身体の熱を上げた。
私も彼に応えたい。
でも。
それは叶わない。
「ん…く、苦し…っ!!」
息継ぎする隙間すら与えてくれないため、酸素不足になってしまった。
苦しさからスーツの裾を引っ張ると。
彼は名残惜しそうに唇を離した。
そして、ため息混じりに言葉を吐いた。
「…俺が、どれだけ我慢してたと思ってる」
「え…?」
「それなのにそんな煽るような唇しやがって。我慢もくそもねぇだろが」
私の唇が熱いのか、彼の指先が冷たいのか。
触れられた指先が心地いい。