個人的事情につき“それ”禁止
「…ったく」
俺の気持ちも知らねぇで“なんで”なんて勝手なことぬかしてんじゃねぇ。
また同じことしてきたら。
今度はあんなもんじゃ済まさねぇからな。
覚悟しとけ。
しゃがみこんでいた腰を持ち上げると。
口元を覆っていた手のひらに目をやる。
そこには薄らと、彼女の唇にのっていたグロスと口紅の色がついていた。
「…グロスと口紅は、社内恋愛には向いてねぇな」
彼女にグロスだけじゃなくて口紅も禁止してやればよかった、と。
そんな思いをため息にのせた。
【END…?】