淋しいお月様
公園ビールで淋しい
カシャッ。

プシュー……シュワワワ。

ん~、いい音っ。

私は缶ビールから溢れ出す泡を、舌でひょいと拭った。

そして、そのままぐいっとひと口。

ん~、うまいっ。

私は公園のブランコに座りながら、ビールを飲んでいた。

一日の仕事が終わり、いつも家に帰りたくなくて、ついついこの公園に来てしまう。

公園、と言ってもブランコと鉄棒と滑り台と砂場しかない、狭いところ。

周りは木々に囲まれていて、鬱蒼としている。

夜の10時。

こんな時間に公園にいるなんて、私ぐらいなもん。

ちょっと公園を出れば、コンビニだってあるし、大きな路地に面するから、痴漢さんだろうが通り魔さんだろうが、私は警戒などしていなかった。

天野星羅(アマノ セイラ)、27歳。

まだまだ若いのに、手にはテイクアウトしたマックのハンバーガーと、缶ビール。

これが習慣になっていた。

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