淋しいお月様
キャベツの葉を茹でている間に、具を作る。

次の行程は、たまねぎのみじん切り。

み、みじん切り……?

やったことないけれど、とりあえず細かく刻めばいいんだろう。

ぴりぴりと玉ねぎの皮を剥く。

私、玉ねぎなんて触ったの初めてじゃないだろうか。

今まで実家暮らしだったし、東京に来てからは毎晩マクドナルドばかりだったから、自炊なんて始めてだ。

どこまで剥いても皮ばかりなんだな、玉ねぎって。

とりあえず、縦にスライスして、あとは細かく刻めばいいか。

大きさがまちまちになってしまったけれど、まあ、よし。

次は、ひき肉と混ぜる――うわ、素手でやんなきゃいけないのか。

手がぐちゃぐちゃになる。この感じ、気持ち悪い。

しかも、さっき切った玉ねぎのせいで、涙がとまらない。

手はひき肉でぐちゃぐちゃで、目をこすれない。

私はシャツの袖で目頭を拭った。

手についていたひき肉が、べちゃっと床に落ちた。

あ~……。
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