淋しいお月様
私は早くも挫折しそうだった。

でも、ちゃんと最後まで作りたい。

おいしい料理を作れるようになって、セイゴさんに誉めてもらいたかった。

茹で上がったキャベツにひき肉で作った餡を入れる、と。

「あちちっ」

もうもうと湯気が立っているキャベツは、熱いのが当然だった。

なんとまあ、初歩的なミスを……。

私は思わず苦笑い。

こんな私を見たら、セイゴさんだって苦笑いをすると思う。あの、困ったような笑顔で。

とりあえず、キャベツの葉はザルに入れて冷ますことにした。

そうして、しばらくしてから餡を入れる。

また、手がぐちゃぐちゃになる。

この嫌な感じにも、慣れなきゃな。

キャベツの葉を広げて、ひき肉を入れる。

くるっと巻いていく。

あ、餡を入れすぎて、中身がはみ出てしまう。
< 106 / 302 >

この作品をシェア

pagetop