淋しいお月様
私はイライラし始めた。

料理なんてやめてしまいたい、とも思い始めた。

だけど、最後までやりとげなきゃ。

生活力のないダメ女から、変身を遂げなきゃ。

そう思い、ひとつひとつキャベツを包んでいく。

あとは、固形スープを入れた鍋に、包んだキャベツを入れるだけだ。

ひとつひとつ丁寧に並べ入れ、やっと一息ついた。

はー、料理がこんなにも気力、体力を使うものだとは……。

くつくつ鳴るお鍋を前に、大きなため息が出た。

セイゴさんってば、やっぱり凄いな。

料理レシピもなしに、あんなにおいしいご飯つくってくれて。

しかも、スヌーピーのキャラ弁なんてものまで披露してくれて。

男のひとなのにな。

ひとり暮らし、長いのかな。

……今、セイゴさんはどこにいるんだろう。

旅、ってどこまで行ったんだろう。

謎の多いひとだなぁ。
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