淋しいお月様
「あちゃー」

私は思わず声をあげてしまった・

おいしく出来たかな、と鍋の蓋を開けてみると、ものの見事にロールキャベツから餡がはみだしていて、キャベツのごった煮、と化していたからだ。

けれど、思い直してひと匙、すくってみる。

あ、おいしい。

味付けはばっちりだったのに、形が崩れていた。

こんなんじゃ、セイゴさんに食べさせるレベルのものじゃない。

料理は特訓だ。

次の経験に生かせばいい。

私はそう思いなおし、お皿にキャベツスープをすくい、ダイニングへと持って行った。

「いただきます」

誰もいないのに手を合わせ、いつもの如く帰り道で買ってきたビールを空けた。

――やっぱり、淋しいな。
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