淋しいお月様
ひとりきりの部屋だと、静けさが耳に痛いよ。

セイゴさんがいてくれたらな。

ビール一杯だけでのつきあいでも、いてくれたら楽しいのに。

旅行、なんてどこ行っちゃったの?

早く帰ってきて欲しい――。

窓辺から見える月に思いを飛ばした。

セイゴさんも、あの月に気づいているだろうか。

月の影が半分見えている、あの半月に。
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