淋しいお月様
ライブに誘われて嬉しい
「聞いたよ~。星羅ちゃん、彼氏と同棲してるんだって?」

朝、職場のエレベーターで列をなしていると、後ろから羽交い絞めにされた。

「え? ああ、ユアさん」

今日もおしゃれなユアさんは、風色のスカーフを首に巻いている。

春も終わり、もう初夏の季節なのかと思う。

東京にも、何とか慣れてきた。

「彼氏追っかけて東京に来たんだって?」

「いや、その……」

出勤時間で大勢のひとでごった返しているエレベーターホール。

そこで堂々の彼氏います宣言も、どうかなと思うけれど。

「葵ちゃんたちから聞いたよ。いいねえ。ラブラブで」

「ラブラブっていうか……」

彼氏とは音信不通だし。

セイゴさんとの逢瀬を、同棲と云っていいものかどうか……。

「ユアさんこそ、ラブラブなひとはいないの?」

私は切り替えした。

「いるよ~」

「あ、いるんだ。やっぱりユアさん、可愛いから」
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