淋しいお月様
「あ、それなんだけどさ、ユア。私身体重くて、ちょっとライブ行くの無理そう」

「そっか。残念。仕方ないよね」

「ほんと、ごめん。せっかくチケット買ってもらったのに」

「いいよ、いいよ。じゃあ、星羅ちゃん、行かない?」

「え? タクミさんの、ライブ?」

「うん。チケット無駄になっちゃう。葵ちゃんも一緒だよ」

ライブかあ……。

ミュージシャンのライブなんて、ほとんど行ったことがない。

高校時代の学内バンドで、体育館ライブがあったけれど、まあそれなりに楽しかった。

「いつ?」

「来週の木曜」

「いいよ。来週の金曜日は、ちょうど私仕事休みだし」

「いいね~。私はばっちり入ってた。でもライブ当日は休みにしたよ。美容院行かないと」

ユアさんは、これ以上綺麗になろうとしてるのか。

そこまで好きなんだな、その、タクミってひと。
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