淋しいお月様
そしてまた、自堕落な生活に後戻りしてしまった。

仕事から帰ってきたらくたくただし、料理も掃除もしたくない。

朝起きて部屋の片付けでもすればいいものの、面倒でぎりぎりまでベッドで寝ていたい。

一回だけつくったロールキャベツ。

それなりにおいしかったけれども、やっぱり私にはマックとビールが一番のごちそう。

原点回帰してしまった。

今日も月を見ながら、近所の公園のブランコに座ってビールを飲んでいた。

あの雨の日、セイゴさんは見知らぬ私に傘を手向けてくれていたんだっけ。

そして私がそのせいで風邪をひいて、ずっと傍にいてくれた。病院までつきそってくれた。

そこから、私たちの関係は始まったんだな。

不思議な縁だな、と思う。

人生、どこに出会いが転がっているのか解らないな、って思う。

ビールをひと口、口に含んだ。

しゅわしゅわの泡が、私を爽快にさせる。

一日のこころに溜まった澱が、溶けていくような気がする。
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