淋しいお月様
お互いがお互いをそんな目で見ていないってこと、解ってる。

まあ、キスされそうにはなったけど、それはそれで。

私たち、いい関係だよね。

いい、オトモダチ関係。

「ホットミルクでも飲みたいな」

セイゴさんが、気を取り直したように云った。

「うちにないけど」

「じゃあ、コンビニで買ってくるか」

「私も行く。サラダ食べたい」

そうして、ふたりで家を出た。

外はしとしと雨だった。

コンビニまで、徒歩7分。

私たちは手を繋ぐでもなく、並んで歩いた。

ふたつの傘が、たまにぶつかりあう。

セイゴさんは私の歩調に合わせて歩いてくれる。

静哉だったら、早足でさっさと前を歩いて行くようなひとだったのに。
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