淋しいお月様
私は野菜スティックと、おにぎりをカゴの中におずおずと入れた。

「これだけでいいの?」

とセイゴさんは云ったけど、充分だった。

セイゴさんは、タバコと牛乳を買った。

コンビニを後にして、そういえば、と私は思った。

「いつも夕食とかお弁当とか、材料費全部出してくれてたもんね。私、ちょっとはお金払わなきゃ」

「いい、いいって」

「でも、見ず知らずの他人様に……」

私が云うと、彼は豪快に笑った。

「見ず知らずも何もないでしょ。それに、俺ら他人なの?」

「う~ん」

「他人だなんて云われたら、傷つくなあ」

「あ、ごめんなさい。他人じゃないです」

「友だち以上、恋人未満ってやつ?」

「そう……かな」

私は曖昧に頷いた。
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