淋しいお月様
夕方、雨の音で目が覚めた。

私はベッドの上に寝転がっていた。

あれ……?

私、ベッドなんか入ったっけ?

見れば、セイゴさんが壁にもたれて腕組みをしながらすうすうと眠っていた。

毛布――かけてあげなきゃ。

風邪ひいちゃう。

そう思って、そっとベッドから起き上がった刹那。

ぎっ、とベッドの軋む音がして、それでセイゴさんの瞳はゆっくりと開けられた。

「あ、ごめんなさい。起こしちゃった」

「ん~、熟睡はしてないよ。さっきからまどろんでた」

掠れた声のセイゴさん。

起きたての声って、何だかセクシーだ。

「風邪ひくよ」

「大丈夫、俺、こう見えても頑丈にできてるから」

前にも聞いた話だ。

「それより、星羅ちゃんの方こそ風邪ぶりかえすと思って、ベッドに寝かせたよ」

私は全身が熱くなるのを感じた。
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