淋しいお月様
「何が食べたい?」

「あ……ロールキャベツ」

「合点」

「この間、ロールキャベツ作ってみたんだけど、うまく行かなくて……」

「じゃあ、一緒に作ろうか」

さらりと云ってのける彼。

「そんなに簡単にできるの?」

「簡単さ」

セイゴさんはテーブルの上に置いてある財布をスラックスのポッケにしまい、出かけようとした。

「セイゴさん、仕事は?」

また、夜のうちに出かけてしまうのではないかと懸念があった。

「今日は丸々休み。明日は夕方からリハで、あさっては朝から移動。まだライブツアー残ってるんだ」

「そう……。また、2週間くらい、会えないの?」

「すぐだよ。2週間なんて」

その言葉に安堵を覚えた。

2週間なんて、すぐだ……。
< 141 / 302 >

この作品をシェア

pagetop