淋しいお月様
彼がいなくて冴えない
「彼氏、旅行から帰ってきたんだ」

私が広げているお弁当を見て、ユアさんが開口一番に言った。

今日のお弁当は、ドラえもんのキャラ弁だった。

「う、うん……」

彼氏じゃないけど。

ってか、相手、タクミなんですけど。

なんて、云えるはずもなかった。

「料理上手の彼氏っていいよね。羨ましいわ」

ユアさんもお弁当を広げた。

彼女も中々の料理上手だと思う。

タコさんウインナーには、かんぴょうで鉢巻がしてあるし、胡麻で可愛らしい目もついているのがちらっと見えた。

「タクミも料理上手なんだよね~。ブログによく作ったものアップしてる。いいな~。食べてみたいな~」

宙を見つめてうっとりと言う彼女。

だったら、これどうぞ。

とは、云えない……。
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