淋しいお月様
セイゴさんは、ツアー中でいない。

誰も私の帰りを待ってるひとなどいなかった。

これからまた、公園で月見酒でもしようと思っていたところだ。

「僕、バイト10時であがるんです。それまで待っててもらえますか」

あと15分足らずの時間だった。

「いいですよ」

何だかわけが解らないまま、私は頷いていた。

「マックシェイクでもどうですか? 僕、奢ります。何味がいいですか」

「あ、じゃあ、えっと……バニラ」

「かしこまりました」

ややあって、若森さんがシェイクを出してくれた。

私はありがとう、と云って受け取った。

そして、店内で窓際の席に座り、シェイクを啜りながら彼を待った。
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