淋しいお月様
『今日はどうもありがとう。若森さんって、おいくつなんですか?』

短いメールだ。けれど、これ以上聞くことはなかった。

返信はすぐに来た。

『こちらこそ、ありがとうございます。歳は、22歳です。これから稽古です。星羅さんからメール来たから、テンション上がって大変です』

稽古――?

舞台役者でもやってるのかな。

それにしても22歳かぁ。

私より5つも年下じゃん。

27歳の、こんなオバサンでもいいのかしら。

なんてことを考えてたら、雨がぽつりぽつりと落ちてきた。

傘なんてない。

傘を手向けてくれるセイゴさんもいない。

また、風邪をひいたら大変だと思い、私は帰ることにした。
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