淋しいお月様
ピルピルピルピル――。

メールの着信音で目が覚めた。

誰だろう、と思いながら寝ぼけ眼をこすって、ベッドの上の携帯を開いた。

若森さんからだった。

『おはよう。今起きました。これからガソリンスタンドのバイトです。星羅さんは何してましたか』

マックの他に、スタンドでもバイトしてるのか……。

勤労青年だ。

『おはよう。私も今起きたとこ。12時から仕事です。夜の9時まで。若森さんも一日頑張ってね』

その気はないと云ったくせに、彼からメールが来るなんて、何だか嬉しかった。

彼、ではなくてもいいのかもしれない。

誰かから連絡があるのは嬉しいものだ。

私は大きく息を吸って、ベッドから立ち上がる。

すると、またすぐに返事が来た。

『若森さん、なんてよそよそしいので、他の呼び方で呼んでください』

確かに、年下の男の子相手にさんづけは、ちょっと堅苦しいかも。

そう思い、彼の下の名前は何だっけ、と考えた。
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