淋しいお月様
『じゃあ……、若森くん、でいい? まだ知り合ったばかりなので』

下の名前を忘れた、とは云いにくかった。

『はい。じゃあしばらくはそれで(笑)また、夜マックに来てくれますか?』

セイゴさんはいつ帰ってくるか解らない。

きっと、今日の晩ご飯も、マクドナルドのハンバーガーになることだろう。

『行きますよ。貴重な晩ご飯です』

そう返して、私は着替えにとりかかった。

『マックが晩ご飯ですか。今度、おいしいお店にでも行きましょう』

彼からのメールは続いた。

お友だちとして、ならいいけど。

傍から見たら、私たち姉弟だよね……と苦笑。

5つも年下なんて、他につきあいがないからどうしたらいいかちょっと戸惑う。

それでも私は上機嫌で、新しいシャツに袖を通した。
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