淋しいお月様
「なんだか、いつも淋しそうだったから」

なんてこと……。

私の心情まで汲み取っていたのかと驚いた。

「どうして解ったの?」

「なんか、表情暗いんだよね。どんよりとしてるというか。あ、僕の前にくると笑顔見せてくれて、そのギャップがよかった。愛想いいよね」

ちゃんと見てたんだ……。

店員さんなんて、いつも意識してなかったけれど。

若森くんは、ちゃんと見ててくれた――。

「僕も、淋しかったから、波長が合ったのかも」

意外な事実を彼は口にした。

「若森くんも、淋しいの?」

すると彼はドリンクを口に含み、飲み干したところで頷いた。
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