淋しいお月様
「それより星羅さん、ドリンク持ってこなくていいの?」

彼はまた気遣いをしてくれた。

「あ、そうだった。話に夢中になっちゃって」

「行っておいでよ。僕はここにいるから」

「ありがとう」

何だか私は、久しぶりに楽しかった。

誰かと話すのって、精神衛生上いいみたいだ。

私と境遇が似ている若森くん。

何だか、もっともっと仲良くなれそう。

私には静哉がいるから、決してそういう関係にはならないけれど。

ほんと、東京ってどこに出会いが転がってるか解らないもんだな。

たまたま知り合ったセイゴさんだって、ミュージシャンだし。

芸能人と仲良くなるだなんて、思ってもみなかったよ。

元気にしてるかな。

こころの隅で、彼を思った。
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