淋しいお月様
やがて料理が運ばれてきて、私たちはゆっくりと食事をしながら会話を楽しんだ。

「若森くんの好きな俳優って、誰?」

「マイケル・J・フォックス」

「あ、私も好き」

「ほんと? バックトゥザフューチャー」

「うんうん。見たことある。マイケル、童顔で可愛いよね」

「そう。真面目きった演技でも、コミカルに見えるんだよね。それって凄いと思う。どこかひとを惹きつける魅力があるんだよね。大して背も高くないのに、ハリウッドスターだし」

「あれ、でも病気になったんだっけ」

若森くんは、ハンバーグを口に入れ、咀嚼しながら頷いた。

「そうだね。でも初めのうちはそれを隠して仕事してたらしいよ。手の痙攣とか」

「プロだね」

「そうだね。最近は見なくなったけど、“ラッキーボーイ”だっけ? 彼の本持ってるよ」

「そこまで好きなんだ。あ~、最近バックトゥザフューチャー見てないな」
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