淋しいお月様
「テレビのような、いいコトしよう?」

耳元で囁かれた。

えっ、な、何――?

彼の口が、私の首元に着く。

手は胸の上に乗せられた。

「ちょ、ちょっと、嫌――!!」

じたばたと動いてみたけれど、彼はびくともしない。

襲われる――!

このままじゃ、ダメだ。

自力で逃げ出さないと、ダメだ。

私はふっと全身の力を抜いた。

若森くんは、おっ? という顔をする。

「その気になってくれた――?」

次の瞬間、私は彼の股間に思いっきり蹴りを入れた。

「うぐっ……」

彼は私の上から転げ落ち、もんどりうって倒れた。

今だ――!!
< 184 / 302 >

この作品をシェア

pagetop