淋しいお月様
私はするりと彼をかわし、テーブルの上から自分の鞄を持って、部屋から一目散に出て行った。
そして、走った。
後ろも見ずに、ひたすら走った。
息が上がったところで、私はとぼとぼと歩き出した。
若森くんが、あんなこと――。
ぶるっと身震いが出た。
怖かった――。
最初から、そういう目的で私を家に呼んだのだろう。
映画なんて、ウソばっか。
人知れず、涙が出た。
人間って、あんなに豹変するもんなんだ。
優しくて、気の利く彼だと思っていたけれど。
その実、狼だった。
悔しくて、悲しかった。
そして、走った。
後ろも見ずに、ひたすら走った。
息が上がったところで、私はとぼとぼと歩き出した。
若森くんが、あんなこと――。
ぶるっと身震いが出た。
怖かった――。
最初から、そういう目的で私を家に呼んだのだろう。
映画なんて、ウソばっか。
人知れず、涙が出た。
人間って、あんなに豹変するもんなんだ。
優しくて、気の利く彼だと思っていたけれど。
その実、狼だった。
悔しくて、悲しかった。