淋しいお月様
恋に落ちて……苦しい
セイゴさんと外に出かけるのは、初めてのことだった。

今まで公園とか、私の家とかで一緒にいたことがあったけれど。

何だか、新鮮な気分。

「セイゴさんの車に乗るのは、これで二度目ね」

軽のワゴン車。

まるで女の子が乗るような、可愛いタイプ。

「どうぞ」

車の中は、楽器や機材が積まれていた。

やっぱり、セイゴさんってミュージシャンなんだな。

「セイゴさんって、ギターも弾くんだ?」

乗せられていたのは、ギターケースだ。

「うん。ベースもドラムもやるよ。趣味程度に」

私は助手席に乗り、シートベルトをつけた。

セイゴさんもシートベルトをし、エンジンをふかした。

「すごいね。楽器ができるって尊敬」

「んなことないよ」

「作曲とかもするんでしょう?」

「基本、ピアノで作るけどね。気まぐれでギターで作ることもあるよ」
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