淋しいお月様
「ここだよ」

サイドブレーキをきっと引いて、セイゴさんは車を停めた。

山の中にある、ログハウスだった。

“木古里――きこり”とあった。

私は促されるまま、店内に入った。

ちょうどランチタイムも終わった時間、そこそこ店内は混んでいた。

木で作られたテーブル、同じ椅子。

天井は高くて、ファンが回っていた。

かすかに木の香りがした。

「いらっしゃいませ」

店員さんに案内されて、私たちは壁側の席に座った。

店員さんは、お水をふたつ、テーブルの上に乗せ、“ご注文がお決まりましたら、どうぞ”と云って、去ってしまった。

「ここのね、ピザが美味しいんだよ。石釜で焼いててさ」

「じゃあ、それにする」

「うん。結構デカイし、ひとつで十分だと思う。星羅ちゃんは何味が食べたい? トマトとか大丈夫?」

「好き嫌いは無いわ」

「そ、よかった。マルゲリータがオススメなんだけど」

「じゃ、それ」
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