淋しいお月様
「子どもみたいなんだから」

セイゴさんは笑いながら、おしぼりをたたんだ。

「すみませんね」

私は照れ隠しで、わざとつんけんしてみた。

……照れ隠し?

何だろう、この気持ち。

胸がざわざわ云っている。

一緒に寝たり、手を握ったり、キスされそうになった時は、こんな感情を持たなかった。

なのに、今は。

なのに……今は。

解る。

コレは……恋心だ。

ずきゅん、として、どきゅん、とする。

でも、どうして、今更……。

私は、静哉の彼女のはずでしょう?

恋、だなんて。

静哉以外のひとに、恋、だなんて……。
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