淋しいお月様
「どうしたの? 気持ち悪い?」

私は喋ると吐きそうだったので、こくこく、と首を縦に振った。

「あそこのコンビニに止まるよ」

セイゴさんはハンドルを切った。

駐車場に車を入れると、私は助手席のドアから飛び出し、一目散にトイレへと走って行った。

トイレの中で、ひと息つく。

大きく、深呼吸をする。

ふーっ。

胸の高鳴りが、ちょっと治まったので、吐き気もなくなった。

これは……、いかん。

いかん、いかん。

恋って、急に落ちるものなんだ……。

いや、これを恋と呼んでいいものか解らないけれど。

私は、さっきからセイゴさんを男性として、意識してしまっている。

一緒にいる空間が、嬉しくて苦しい。

一体、どうしちゃったの?

私は自分で自分に問いかける。
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