淋しいお月様
しばらくして、完全に落ち着いてから、私はコンビニを出た。

「大丈夫?」

車の中で、セイゴさんが待っててくれた。

私が助手席のシートベルトを締めると、はい、とオレンジジュースを差し出してくれた。

「気持ち悪い時は、柑橘系を摂るといいよ」

「……ありがとう」

私はそれを受け取り、ごくごくと飲んだ。

「俺にもちょーだい」

セイゴさんは私からペットボトルを奪うと、私と同じようにごくごくと飲んだ。

そして、私にまたジュースを渡してくれる。

「間接キス~」

彼が冗談を言って笑う。

……冗談に、ならないんですけど……。

私はキャップを閉め、傍に置いた。

「車に酔ったかな? もう少し行くと、スーパーがあるから、そこで買い物しよ」

彼はエンジンをかける。

「買い物?」

「今夜の夕食だよ」

当たり前のように彼は言う。
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