淋しいお月様
「昼間具合悪かったのに、飲んでも大丈夫?」

セイゴさんの作ってもらったリゾットに添えて、私は赤ワインを冷蔵庫から出してきた。

そんな私を心配してくれる。

「ん~、今日は酔いたい気分」

「じゃ、ご相伴しようかな」

勝手知ったる私の部屋。

セイゴさんはキッチンからグラスをふたつ、持って来てくれた。

「じゃ、乾杯」

「乾杯」

私たちは、グラスを合わせた。

「ん~、美味しい。私、渋くてすっぱいワインが好き」

「俺も。甘いのは苦手だな。あ、フルーツワインはそれはそれで美味しいけどね」

「リゾットも、美味しい。きのこにセロリ?」

「うん。セロリ大丈夫だった?」

「私、あんまり好き嫌いないの」

「そりゃあ、よかった。食べ物の相性って、性格の相性にも繋がるらしいから」

さらりと言ってのける彼。

それは……私との相性がいいってこと?

私はその後、もくもくとリゾットを食べ、するするとワインを飲んだ。

「何だか、変、だよね」

しばらくして、グラスのワインを飲み干して彼が言った。
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