淋しいお月様
「変? 何が?」

「星羅ちゃんが」

そして、私をじっと見る。

私はその視線に耐えられなくなって、すっと視線を外した。

「ほら、変だ。なんか、よそよそしいというか、俺から距離を置こうとしてるというか……」

「そんなこと、ないよ」

「男の俺、怖い?」

「へ?」

「ほら……君、あっただろ」

言葉を濁すセイゴさん。

若森くんに襲われそうになったことを示唆していたのが解った。

「セイゴさんは、怖くないよ。だって、こんなに一緒にいても、何もモーションかけてこないでしょ」

「うん……まあ」

キスされそうになったことはあったけど、それはきっと、彼のきまぐれ。

「セイゴさんのことは、信頼してるよ」

「ありがとう」

私の言葉に、セイゴさんはまた困ったように笑う。

わ……可愛い。

今まで何も感じなかったのに、そんな表情がいちいち私にビリビリとバイブレーションを与える。
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