淋しいお月様
「あれ? クマさんは?」

「彼女は何かお腹張っちゃってるみたいでさ。今日は休みだよ」

クマさんは妊婦だ。

いつも幸せそうなオーラを醸している。

「妊娠かぁ」

私は何気なしに呟いた。

「何、何? 妊娠の予定でもあるの?」

「妊娠もなにも……」

私は苦笑する。

そういう、子どもができるような行為はずっとしていない。

結婚相手だって、いない。

そもそも、彼氏だって音信不通なんだから。

「私も妊娠した~い。あったかい家庭をつくりたいな」

「私はまだいいや。仕事、楽しいし」

ユアさんの言葉に、葵ちゃんが続く。

「働くのって大変だよね。特に、安藤女史には気をつけないと。難癖つけてくるのが趣味みたいなものだから」

と、ユアさん。

「ああ、お局は嫌だね。私はああいう上司にはなりたくないな」

と、葵ちゃん。
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