淋しいお月様
「静哉、晩ご飯は?」

「あ~、同僚と食べてきた」

「そう。何食べてきたの? ラーメン? お寿司?」

「ピザとパスタ」

「あはは、まるで女子じゃん」

「まーな」

セイゴさんは、何食べたんだろう。

今頃、何をしているのだろう。

そんな思いがふっと沸き立ち、私はあたまを左右に振った。

「座れば?」

静哉は、フローリングを指差した。

「うん。クッションとか、ないの?」

「あ~、あるには、あるが」

そう言って、クローゼットを開けて、彼は私にクッションを渡してくれた。

「なに、ピンク? 静哉、ピンクなんて好きだっけ」

「ああ、ちょっと部屋が殺風景だからさ」

確かに、静哉の部屋はモノトーンで統一されていた。

黒いカーテン、白いテーブル。

静哉らしいチョイスだなと思った。

でも、クッションがピンクだなんて、ミスマッチ。
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