淋しいお月様
私は、静哉を追って東京まで来たのだから。

静哉の横が、私の居場所なんだから。

「芸能人と知り合いってすげーよな」

私をまじまじと見て、彼は言う。

「でも、オマエは俺の女なんだからな」

「――解ってるよ」

ずっと、そう思ってきたよ。

ずっと、そう言い続けてきたよ。

会えなくても、連絡とれなくても、私は静哉のことだけを思ってきたよ。
なのに――。

私は、セイゴさんを傷つけてしまった。

早いうちに、本当のことを言わないできたから。

彼氏がいるってこと、セイゴさんには言ってなかったから。

だから、期待させるようなことして、結局彼を傷つけた。

あんなに優しいひとだったのに。

あんなに楽しい毎日だったのに。

そして、私は、セイゴさんを――。

「どうした? ぼーっとして」

私ははっと我に返った。
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