淋しいお月様
私の言葉に、女の人は眉を顰めた。

眉を顰めて、怒ったような顔をしても、美人だ。

とびきりの美人。鼻筋も通ってるし、眉も凛々しいし。

“東京の女”って感じ……。

「静哉なら、いるけど?」

「ちょっと、出てきてもらえませんか?」

「何の用? あんた、誰?」

静哉の彼女です――とは言えない雰囲気だった。

それに、私はもう、こころの中では、静哉の恋人ではない。

「ライラ~。誰? 郵便?」

奥の方から、静哉の声がした。

この美人は、ライラという名前なのか。

どこか中性的な感じがするのが、彼女にぴったりと合う名前だと思った。

「静哉に出てきてほしいって」

ライラさんは、振り向いて静哉に声を飛ばす。

「ん~。誰~?」

すると、静哉がパンツ一丁で出てきた。

「静哉」

私が声をかけると、静哉はびっくりしたような顔つきになった。

「誰? この子」

ライラさんが不機嫌そうに言う。

「えーっと、誰だっけ?」

静哉はとぼける。

――そうか。
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