淋しいお月様
……そうか。

「この方、静哉の彼女さん?」

「……」

静哉は言葉に詰まる。

「そうよ。だから何なの?」

代わりにライラさんが答えてくれた。

あの、ピンクのクッションも。

キッチンの、調味料も、ペーパータオルも。

総て、ライラさんが揃えたものだったんだな。

忙しくて、私に連絡してこなかったんじゃなくて、あたらしい彼女ができたから、連絡が途絶えたんだ。

それが、また連絡をしてきたのは、私がセイゴさんと写真を撮られたから。

今更ヤキモチを焼いてか、周りに自慢したくてか、そういう理由で急に連絡してきたんだな。

私は、総てを悟った。

「失礼しました。バイバイ、静哉」

私はあたまを下げて、自分からドアを閉めた。

「ちょっと~、なんなの、あの子!?」

ドアの向こうで、ライラさんが声を高めているのが聞こえた。

これで、終わり。

ちゃんとした別れ話をしたかったけれど、それどころじゃないね。

バイバイ、静哉。

好きだったよ――。

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