淋しいお月様
今日は安ワインで乾杯と行こう……。

地べたに座り、私はリモコンやら雑誌やらでごちゃごちゃになっているテーブルの上にワインを載せ、きりきりとキャップを開けた。

そうだ、コップは……、キッチンへ立とうとしたけれど、めんどくさいので止めた。

それに、コップもしばらく洗わずじまいで、シンクに置きっぱなしだったのを思い出す。

あ~あ、これでも女子か。

自分でも突っ込みを入れたくなる。

ワインの瓶に直接口をつけ、ごくごくと飲む。

あ~、染みる。

適度の渋みがいい。

安くて酔えるからワインはいいよな。

私はしげしげとワインの瓶を見つめた。

”肉料理のおともに”なんて書いてある。

料理、か……。

料理なんていつ以来していないのだろう。

思い出してみる。
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