淋しいお月様
きちんと、バスケットに入っていた。

「このカゴ、どこで買ったの?」

「俺のうちにあったものだよ。こういうの好きでさ。いかにもピクニックって感じだろ」

「うん。そうね」

ビニールシートを広げ、セイゴさんはバスケットから、いくつものお弁当箱をそこに並べた。

「わ~、美味しそう」

「遠足の定番ばかり集めてみました」

いつもの凝ったキャラ弁じゃなくて、鳥のからあげ、卵焼き、タコさんウインナー、パスタサラダなどがお目見えする。

どれもこれも美味しそうだ。

「朝からこんなに作ってたの」

「そう。君が夢を見ている間に」

会社の帰宅時間と出勤時時間が遅いから、私はいつも朝はねぼすけだ。

決まってセイゴさんが初めに起きだしていて、私が起きる頃にはセイゴさんのお手製朝ご飯が並べられている。

こんな生活。

つきあう前となんら変わらない。

掃除だって、セイゴさんが私が仕事に行ってる間に済ましておいてくれる。

「……すみません」

私は縮こまってしまう。

「いいんだよ。俺、ひとの世話焼くの、好きだから」

出会って間もない時も、風邪ひいた私を、病院まで連れて行ってくれた。

そんなことを思い出す。
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