淋しいお月様
「なんじゃ、そのお弁当」

お昼休憩中に、ユアさんたちと一緒になった。

葵ちゃんも、クマさんも私のお弁当を凝視する。

「いやあ、作りすぎちゃって……」

みんなが注目しているお弁当は、茶色のカタマリ。

ところどころ、黒コゲがある。

私が作ってきたお弁当は、からあげ弁当だ。

セイゴさんの作るそれと同じで、にんにく風味にしてみた。

その名の通り、からあげだけのおかずに、白米を添えてある。

「作りすぎっていうか、野菜は?」

と、随分お腹の大きくなった、妊婦のクマさん。

「野菜敷き詰めるスペース、なくて」

「なんかすごい、にんにく臭いんだけど」

と、鼻をふんふんしている葵ちゃん。

「ガーリックパウダー、入れすぎちゃったかな」

「タクミは作ってくれなかったの? ケンカ?」

私とセイゴさんの仲は、もう皆承知のこと。

ユアさんも、私たちを認めてくれた。

「セイゴさんは、今、忙しくて会ってないの」
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