淋しいお月様
セイゴさん、作曲期間だって云ってたけど、それは口実で。
私から離れたかったのかもしれない……。
「ほら、ほら。あからさまにしょんぼりしないの。これから挽回すればいいじゃない」
と、葵ちゃん。
「家事なんて、慣れだからね。私も結婚するまではひどかったよ」
と、クマさん。
「クマさんも、私みたいだったんだっけ?」
彼女のお弁当は、彩りも綺麗で、ちゃんと野菜も入っている。
妊婦なんだから、栄養のあるものを食べなきゃならないのもあるんだろうけど。
「そうよ。ひどかったわよ。私、ずっと実家暮らしだったからさ」
「そうなんだ。想像つかない」
クマさんは豪快に笑う。
「あははは。そうね。今はちゃんと主婦してるわね」
「何が、きっかけだったの? 結婚?」
「そうね。好きなひとのためだったら、美味しいもの作ってあげたいって思うようになったし、部屋もきちんと整えて過ごしやすいようにしてあげたいって思うし」
「そうかぁ……」
「あ、それ」
ユアさんがパチンと指を鳴らす。
「タクミの方が、そういう気持ちだったのかもよ。好きな星羅ちゃんのために、料理したり掃除したり。尽くすタイプなのかも。っか~。私もタクミに尽くされたい~」
ひとの世話を焼くのが好きだ、とセイゴさんは云ってくれていた。
「タクミと別れたら、私に譲ってね」
ユアさんは身を乗り出す。
「譲って、って、モノじゃないんだから……」
私は苦笑。
それに、譲る気なんて、ない。
私とセイゴさんを離すものなんて、何もないんだから。
私から離れたかったのかもしれない……。
「ほら、ほら。あからさまにしょんぼりしないの。これから挽回すればいいじゃない」
と、葵ちゃん。
「家事なんて、慣れだからね。私も結婚するまではひどかったよ」
と、クマさん。
「クマさんも、私みたいだったんだっけ?」
彼女のお弁当は、彩りも綺麗で、ちゃんと野菜も入っている。
妊婦なんだから、栄養のあるものを食べなきゃならないのもあるんだろうけど。
「そうよ。ひどかったわよ。私、ずっと実家暮らしだったからさ」
「そうなんだ。想像つかない」
クマさんは豪快に笑う。
「あははは。そうね。今はちゃんと主婦してるわね」
「何が、きっかけだったの? 結婚?」
「そうね。好きなひとのためだったら、美味しいもの作ってあげたいって思うようになったし、部屋もきちんと整えて過ごしやすいようにしてあげたいって思うし」
「そうかぁ……」
「あ、それ」
ユアさんがパチンと指を鳴らす。
「タクミの方が、そういう気持ちだったのかもよ。好きな星羅ちゃんのために、料理したり掃除したり。尽くすタイプなのかも。っか~。私もタクミに尽くされたい~」
ひとの世話を焼くのが好きだ、とセイゴさんは云ってくれていた。
「タクミと別れたら、私に譲ってね」
ユアさんは身を乗り出す。
「譲って、って、モノじゃないんだから……」
私は苦笑。
それに、譲る気なんて、ない。
私とセイゴさんを離すものなんて、何もないんだから。